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WHO WANT TO KILL THE MAN?


 夢を見た。
 金属の刃。木の柄。それらを通じて伝わる感触。生温く染まる手。


「……………」

 目にしたのは黒い天井。否、仮眠室の2段ベッドの上段。金縛りにあっていたかのような硬直が解けてすぐ、手を眼前に持ってくる。普段と変わらない自分の手だ。だが、そこに赤い色が被さった気がした。

 人を殺す夢を見た。

 誰かは分からない。男、だったと思う。彼は、気障な笑いを浮かべ、何故か礼を言って、自分の腕へ倒れこんできた。人の気配に振り向けば、顔は見えなかったが、泣きそうな表情をしている男が1人。――そう、顔が分からないのに。殺した男も後ろにいた男も。夢だからこその演出だ。

 誰を殺した?動機は?

 たかが夢の出来事に、そんな事を考えるのは無駄だ。ただの夢。気にかけることでもない。手首を返し、時計を見る。午前3時。今は、明日に備えて寝ておかなければいけない。しかし――。

「顔色悪いぞ。怖い夢でも見たか?」

 掛けられた声に身体を起こす。七海が、コーヒーカップを2つ持って立っていた。

「これさ」
 そう言ってカップを1つ差し出す。芳しい香り。
「張り切って豆からやったら淹れ過ぎた。飲まねぇ?」
「ここの利用目的を分かっているのか」
「起きたって事は、もう寝ないんだろ」
 その言葉は的を射ている。受け取って、仮眠室を出る。オレは見回り行ってくるわ、と七海は逆方向に進む。

 誰もいない部屋に入る。ブラインドは全部下されており、外の光すらも入ってこない。自席について、カップに口をつける。甘い。思わず顔をしかめる。まるで、砂糖水に色をつけたものを飲んでいるようだった。

 それでも、この甘さは、先ほどの夢を忘れさせてくれるような気がした。





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