9.雑談
「なぁなぁ、表のバイク、本郷の?」
「そういえば、免許取ったって言っていたわね」
「あったら便利だろうなぁ。ここ、何だかんだで駅から距離あるもんな。あれ、400?何ヶ月ローン?」
「いや、あれは知り合いから貰った物だ」
「貰った?バイクを?うそだろ?誰から?何で?」
「近所のバイク屋の2代目が、子供が生まれたので暴走族から足を洗うにあたり、愛着のあるバイクをどうするかで、悩んだ末に俺に貰ってくれと」
「え?ちょっと待って。本郷君、今、暴走族と言ったの?」
「あぁ」
「いや、暴走族と知り合いなのはいいけどさ」
「…いいの?」
「別に本郷だし。そうじゃなくて、暴走族があんなフツーのバイク乗るか?」
「これ以上ない程に改造してあった。それを2人で改造して…」
「改造してフツーのバイクにしたの?わけわかんねぇ」
「あぁ、だからここしばらく手が黒かったのね」
「何だ。オレ、てっきり泥遊びしてるんだと思った」
『泥遊び?』
「…七海君、もう少し常識的に考えない?何で本郷君が泥遊びなんて…」
「じゃぁ、常識的に考えると?」
「…墨をするとか…」
「………」
「似たようなもんじゃん。でもいいなぁ、バイク。オレも欲しいなぁ」
「免許、取ったらいいじゃない」
「分割にすれば、バイト代でもなんとかなるだろ」
「んー。でも、オレ、力そんなにないもん。バイクなんて担げねぇし」
『担ぐ?!』
「…って連城先生が言ってたぜ?バイクの免許取るには、何かあった時のために担げなきゃいけないって」
「…倒れたのを1人で起こせれば問題ない…が」
「本当に連城先生がそんな事言ったの?」
「言ったよ。それでオレ、バイクあきらめたもん」
「いつ?」
「えぇと、本郷が免許取ったって言って、その次の日かなぁ」
「………」
「…あのね、その日はエイプリル・フールよ。4月1日」
「え?!嘘!うわーひでぇ、先生。傷ついた。めちゃくちゃ傷ついた。今度、お詫びに昼おごってもらおう」
「教師にたかる生徒がどこにいる!」
「何言ってるんだよ。学校じゃぁ、『たかりの七海』として有名なんだぜ?」
「七海君、それ、胸を張って言うことじゃないわ―――そうそう、知り合いといえば、私の知り合いがね」
「え?紫乃ちゃんにも暴走族の知り合いがいるの?」
「いないわよ!――映画の鑑賞券をくれたの。3枚。期間中ならどれでも見れるんですって。今度、3人で行かない?」
「行く行く!オレ、インディ・ジョーンズ見たかったんだ!」
「優先権があるのは貰ってきた紫乃だろ」
「あ、そっか。紫乃ちゃんは何が見たい?」
「そうね…。アマデウスかしら。風の谷のナウシカも見てみたいけど…本郷君は?」
「別にこれといって」
「じゃぁ、間を取って、ドラえもんにしようか!」
『ドラえもん?!』
「…あのさぁ、さっきから2人でハモルの、やめてくんない?」
05/09/30
現在のお2人にバイクというイメージはないのですが
本郷君も七海君も、悪い友達はいると思うのです。そのくらいがカッコイイ。2人の違いは可愛がられるか慕われるかの違いでしょうか(笑)。
映画タイトルは、1984年に公開されたらしい一覧からピックアップしました。そのにあった「チ・ン・ピ・ラ」。非常に気になります。