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24.捜査協力


「君たちの学校でも、話題になっているんじゃないかな」
 そう言って連城が差し出したのは1枚の紙。
「あ。高校生クイズ大会」
 真っ先に反応したのは七海で、オレ出るつもりだよ、と意味もなく胸を張る。
「ウチ、野球弱いからさ、夏に何か優勝旗獲ろうぜって、すげー盛り上がってる」
「2人は?」
「うちはあまり…女子高だから盛り上がらないのかもしれませんけど」
「誘われはしましたが」
「じゃぁ、本郷君は参加する旨を伝えて、片桐君は誰かを誘って出てくれないか?」
「何か、あるんですか?」
 申込書も兼ねているから、とチラシを渡す。
「うん、何かあるかもしれないし、ないかもしれない」
 出演者に危害を加えるような脅迫状が届いた。だが、TV局ではそういうものは日常茶飯事であり、特に気にも留めてはいない。しかし、これだけの一般人が参加する番組、何かあれば問題だとプロデューサーから打診があった。ならば、差出人の調査はするにしろ、何かあった時のために3人を出演者として出してはどうか、というのは団の意見だ。
「具体的な話は何も書かれていなかったのですか?」
「そう。本当に一般的な脅迫状だよ。何の含みもない。だから、いつ誰がどこで襲われるかは分からない。向こうは悪戯だと見ているけどね」
「だから、オレ達に、紛れ込んで行って来いってんだろ?そんなのも分かんねーの?」
 馬鹿にしたような七海の口調に、本郷は軽く睨みつける。
「分かっている。だが、あの番組の出演者は、負ければ帰らなければいけないだろう」
「そうね。何日かに跨いでやっているし、同日であれば少しぐらい居座ることも出来るでしょうけれど、最後までいるとなると、勝ち続けなければいけないわ」
 勢い、視線は七海に。
「…なんだよ?」
 中盤のひねりのある出題はともかく、地区予選、前半は純粋な早押し。知っているか知らないかだけである。各自の得意不得意を補えるメンバーでなければいけない。それは考慮してあるのかという意味だ。
「3組いれば、誰か1人はいいところまで行くんじゃないかな」
 連城はにこやかな顔を崩さない。しかし、本郷の視線には気がついていた。
 捜査をするためには、勝負で勝たなければいけない。勝ちながらでなければいけない。勝負中に周りに気を配るのは、例え3人がクイズに通じていても厳しい話だ。それならば、裏方から見守るか、最悪、本人達は拒否するかもしれないが、手を回すかして残らなければいけない。
 目的が他にあるのではないか。彼は無言でそれを伝えている。
 悪戯というのは団も連城も一致した意見。クイズ大会というのは知識以外にも頭の回転、咄嗟の判断が要求される。それは探偵にとっても必要なものだ。なおかつ他者との勝負、テレビカメラが回るとなると、緊張も手伝って普段の力は発揮できない。さらに今回は周囲に気を配らねばいけない。どんな状況でも冷静に判断できる練習の場としてこの話を持ってきた。捜査協力と言う名目の、トレーニングだ。むろん、本人達には言うべきことではないが。
「負けたら、それはそれで力及ばずってことで、別の手を考えなければいけないけれど、やる価値はあるだろう?」
 連城の言葉に更に火がついたのか、七海は拳を挙げる。
「よし!これからクイズの特訓――」
「授業だよ、七海」
 さぁ席について。そう言ったものの、七海の意識は大会に飛んでいるな、と連城は内心ため息をついた。




07/08/25
高校生の祭典。DDSでは出場できないだろうなぁ。
以前、中盤のクイズで「犯人を捜せ!」みたいなものがあったのです。面白かったなぁ。女の人がタイヤ転がしてたのしか覚えてないけど。





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