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13.私もうお嫁にいけない!


 しばらく、固まっていたように思う。出来ることなら、そのままドアを閉めたかったのかもしれない。そんな風に客観的に自分の言動を見ているというのは、一種の現実逃避だろうか。
 教室には、見慣れた1人と見慣れない1人。
「本郷君、生きてるー?」
 正確に言うなら、見慣れない1人なのではなく、見慣れた人物の見慣れない格好、だ。七海は姿に合わせているつもりなのだろう、ハスキーな声で手を振った。それには答えず、片桐に目だけで問いかける。何の茶番だ。
「女子高に潜入しなければいけなくて。私1人だけだと危険だからという、先生たちの判断よ」
 別段気にする風でもなく、ただ笑いをこらえている風でもあり、片桐は根源情報だけを伝える。
「本郷君に行けなんてとても言えないしぃ」
 少し癖の付いた髪をお下げにし、ベージュ色のブレザーに赤いリボン。紺色のスカートは膝丈。厚手の黒いタイツで、足の不自然さもそれなりにカバーしている。細身だから似合わないことはないかもしれないが、自分の理性は拒絶している。
「その喋り方をやめろ」
 冷たく言い放った本郷に、七海は少し頬を膨らませて、机の上に腰掛けた。
「別に、好きでやってんじゃねーからな」
 そう反論しつつも、鏡を取り出し、あちらこちらから確認を始める。
 物凄く肯定的に見るのであるのなら――それに努力が必要だとしても――捜査のための手段は選ばない、よりよい選択肢があるのならば拘りを捨てることが出来る、それは探偵として必要なことではある。
 が。
「眉毛もどーにかした方がいいのかなぁ。喉はそんなに目立たないけど、頬にこないだのケンカの傷がまだ残ってる。ファンデーションとかで隠せるのかな。というかカツラなんだから、自分と同じような癖毛じゃなくてストレートとか試してみたいし。胸ももうちょっと欲しいなぁ」
 七海の特質として、『悪ノリ』というものがある。今はまさにそれだと、過去に幾度か巻き込まれた経験が警報を鳴らしている。
 でき得る限り関わらないことにしよう。その意志が尊重されるかはともかくとして、自己防衛に入った本郷に、片桐は、でも、と口を開く。
「あまり見事に変身されると私の立場がないわよね」




07/03/23
七海君の女装第一号。きっと本郷君は固まるに違いない。何だかんだいって、高校生なら結構男子と女子の違いって出てると思います。特に腕とか足とか

ドクター・ドクロの出現によって、本郷君の防衛策はもろくも崩れ去れるのでした。じゃん。(ぉぃ)





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